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2013年 09月 01日
ACCは8月4日から8日にかけて長野県茅野市にある太陽館を会場として、芸術家グループ「やまんB・art実行委員会」との共催で「高原夏のアトリエ2013」を開催しました。4泊5日のキャンプに参加した福島県に住む小学4年生~中学1年生、合計14名の子どもたちは日々盛りだくさんのプログラムを生き生きとした笑顔を見せながら体験していきました。
8月4日、太陽館到着後、みんなで自己紹介をした後は温泉で長旅の疲れを癒し、スタッフが奏でる竪琴の音色と物語の朗読を聞きました。 5日の朝は森をハイキングして、キノコや落ち葉、木の枝などを拾いました。また、ハイキングから帰ってきた後にそれぞれ森で見た景色を画用紙に描きました。午後は拾ってきた自然物に絵の具で色を付けて大きな布にみんなでスタンプをしました。 6日のアートフェスティバルでは、コラージュ、ロウソク作り、フェイスペインティング、そしてピザ作りを楽しみました。 7日は大きな木の枝や縄で森のオブジェを作り、お昼には焚き火でパンを焼きました。夕方のBBQの後は、夏のアトリエ参加者全員で心に残った思い出を画用紙に描き、みんなで発表しました。そして最後に輪になって、子どもたち一人一人に高原夏のアトリエ2013の修了証書を手渡しました。 こうした楽しい時間を過ごす合間に、付き添いで参加してくれた伊達市在住のお母さんと南相馬市在住の画家・須田さんから、2011年の東日本大震災発生後から現在に至るまでのお話をスタッフ全員で聞く機会がありました。 南相馬では津波によって大勢の方々が亡くなってしまっただけでなく、その後の福島第一原子力発電所事故の影響で行方不明者や遺体の捜索がしばらく出来なかったこと、原発事故後に南相馬の街がもぬけのからになってしまったことなど、須田さんはご自身の体験を話して下さいました。また、原発事故後の補償や放射線の問題を巡って、地域住民や家族間の不仲が増えてしまい「補償にしても放射線にしても『真実』って何なのだろうかと考えずにはいられない。精神的に疲れてしまった大人達の顔色をうかがいながら生活しなくてはいけない子ども達のことが心配です」と複雑な思いを語って下さいました。 伊達市在住のお母さんは、「自分が子どもの頃は普通に山に入って遊んでいたが、今は山の中は放射線量が高いのでそれができない状態。なんとか事故前の普通の状態に戻そうと皆がんばってはいるが、そもそも『普通』って何だったっけ?と考えてしまう」と話して下さいました。 「真実って何だろう」、「普通って何だろう」。原発事故は今までの生活で培われた概念を根底から覆す出来事だったのだと、お二人の話を聞いて感じました。 そして最後に、伊達市在住のお母さんはこう言い添えました。「でも、これだけは言わせて下さい。もちろん原発事故は起きて欲しくなかった出来事だけど、それがあったから『高原夏のアトリエ』のようなキャンプに子どもも自分も参加できて、様々な出会いがあったことには本当に感謝しています」と。お母さんの目にも、話を聞いていた他の人々の目にも、涙が浮かんでいました。 お陰様で「高原夏のアトリエ2013」は、子どもたちの晴れやかな表情のうち、無事全ての日程を終えることができました。物心両面にわたってご支援・ご協力頂きました皆様に、心から御礼申し上げます。
by hopeacc
| 2013-09-01 21:45
| ACCニュース
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