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2014年 05月 29日
2014年5月に発生したバルカン半島における大洪水は、ACCにとって大切な国であるセルビアにも大打撃を与えました。死者は20人超、家屋冠水などによる避難者は2万人以上にも及んでいます。東日本大震災を思い起こすような状況に、この国は今まさに襲われているのです。
(ベオグラード近郊、オブレノバッツ市上空からの様子、街が完全に水没しており、住民の殆どは避難所での生活を余儀なくされています) ACCはこの事態に対応するため、緊急生活再建援助と、セルビアの中で特に被害が甚大なオブレノバッツ市の子どもたちに対する心理社会的支援を中心とした、セルビア洪水支援を実施することに致しました。この記事をご覧になった皆様に、ご寄付という形でのご協力を心よりお願い致します。 郵便振替口座: 00180-0-69004 口座名義: ACC・希望 (通信欄に「セルビア洪水支援」とお書き下さい) セルビアの現状について 5月20日より別件事業のために現地入りしていた2名のACCメンバーは、被害状況調査のため、自分自身、また身の周りの人が、この未曽有の水害により被害を受けた方々と話をする機会を得ました。被害を受けて間もない時期に、「その体験」について聞くことは、果たして良いのかという葛藤もありましたが、テレビや新聞の報道を見ているだけではわからないような生の声を、直接聞くことが出来たのは、今後を見据えた支援のあり方を考える上でも、本当に有難いことでした。 セルビアでは、都市部を除いて一般的に農業が盛んに営まれており、自家栽培で野菜や果物を育て、余った作物を売って少額の現金収入を得ている世帯が数多くあります。洪水はこのような世帯の生計の柱である農業を根本から破壊してしまいました。丹精こめて育てていた作物は全滅、畑から水が引いていないので、復旧にもまだまだ時間がかかります。更には水が媒介する病原菌の繁殖を抑えるために、今後土壌を入れ替える必要も出てくるかもしれません。家屋の崩壊は免れたとしても、家庭生活の基盤自体が破壊されてしまったのです。命が助かり、将来への生活再建に乗り出そうとしても、元通りの生活は望めず、マイナスからのスタートになるのです。そしてこのような状況に対応する支援が、果たしていつ行われるのかは、今のところ全く目処が立っていません。 家が破壊されたケースについては、そこに再び居住することが可能になるためにも緊急で補修工事が必要となります。当然ながら、ダメージが大きいほど多額のお金が必要で、セルビアの地方部の経済状況を勘案すると、それは容易なことではありません。家の中の消毒、壊れた家財道具など購入する必要も出てきます。いくらお金があっても足りず、結局元通りの生活を取り戻すことが難しい人が大量発生することが懸念されます。 話を聞いた人の多くは、当事者としてそのような状況下にいるにもかかわらず「自分も困っているけど、他に困っている人がたくさんいるから、その人達のために動いて下さい」という言葉を数多く聞きました。それには正直心が動かされました。自分が今困り切っているのに、それでも他者を思いやれる暖かさというのがセルビア人の本当に愛すべき点です。3.11の大震災の時、ヨーロッパの中で経済的に豊かな国ではないにもかかわらず、多額の義援金を送ってくれたこの国の人々の思いやりの心を、今回再確認することとなりました。 復興に向けての道はまだまだ遠く、課題は山積みですが、この水害のことを記憶にとどめて、緊急時の集中支援だけでなく、生活再建に向けての細やかな中長期的支援を彼らが必要としているということを、ご認識いただければと思います。緊急時の即効性のある支援は本当に大切ですが、生きていくにあたっての様々な困難には、人と人との助け合い、互いを思いやれる関係性が本当に必要で、日本からもセルビアという国に対する支援が、市民レベルから沸き上がってくることを切に願っております。ACCもこの国に長く関わってきた市民団体として、中長期的視野に立った支援を続けていきます。
by hopeacc
| 2014-05-29 17:37
| ACCニュース
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