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2016年 09月 14日
この度、ACCではJICA‐独立行政法人国際協力機構から草の根技術協力事業の委託を頂き、セルビア共和国で「セルビア共和国スメデレボ市実施対象校の教員に対する難民児童への『心のケア』支援事業」を開始致しました。
2012年2月から2015年1月まで委託を受けた前回のJICA草の根事業では、スメデレボ市の難民センターや社会福祉住宅で暮らすコソボ難民児童達の健やかな成長を支援する「心のケア」事業を実施しました。コソボ紛争から長い時が流れましたが、むしろそれ故に、難民センターで生まれ育ち、学校以外に社会との接点が結べないままに成育して行く子どもたちの社会性や人間関係構築能力を支えることを目的としたこの事業では、3年という継続性の利も得て、様々な成果を得ることが出来ました。しかし、こうした子どもたちの未来、将来の社会での自立に視点を向けた時、そこにはやはり大きな課題も浮上したのです。それは彼らの初等教育(日本の小中学校に相当)からのドロップアウト傾向です。将来、難民という社会的立場から脱し、定職を得て、社会の中で自立して行くには初等教育をきちんとやり抜くことが不可欠です。これがないと、子どもたちの親世代と同じに福祉依存や季節労働への従事という生活が待っていることになります。ドロップアウトの主な原因としては教室内の孤立、教員との距離感、両親の教育への重要性への無理解などが確認されました。教員は問題を認識しているものの、知識習得という従来の教育方法を身につけてきた彼らは、どう対処していいか分からないというのが実情です。 今年8月から2018年1月まで18ヶ月間実施される今回の草の根事業では、教員が難民の子どもたちが抱えている問題への認識を深めて子どもたちが学校との距離感を改善し、その結果として子どもたちの就学状況の向上を目指すことになります。加えて、教員達がそうした認識やスキルを習得することで、この事業が終わってからも効果が定着することを目的としています。 「心のケア」に関する活動は、人道支援の分野では心理社会的支援と呼ばれています。心理社会的支援は、単に心理的問題の改善を目指すだけではなく、それが何らかの形で社会性の促進につながることを重要視しています。ただ、その重要性、必要性には一定の認識があるものの、問題の所在と成果が見えにくいことから中々実施に対する協力を得にくいという現実もあります。 今回、前事業に引き続き、難民の子どもたちの心理社会的活性化という問題にご理解を頂き、この課題への取り組みを草の根技術協力事業として採択してくださったJICAの皆さまに、あらためて感謝申し上げます。
by hopeacc
| 2016-09-14 19:25
| ACCニュース
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