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2009年 08月 01日
七月十日(金)、私たちは島根県の美郷町立邑智中学校で平和学習と銘打ち特別授業を行わせてもらいました。
ACCはこれまで5年間継続して邑智中学校での平和学習を行ってきました。昨年は生徒の皆さんによる作品がセルビアのラーリャ村とブルンチ村の子どもたちに届けられ、紛争の影響下で苦しむ彼らに確かな心の支えとなりました。 さて、セルビア、ないしボスニアの国際的情勢を知り、紛争の中で生きる人たちと関わることで大切な何かを学ぶ。『いのちのかがやき集会』と名付けられた平和学習、と言うと大仰ですが、そう肩肘張ったものではありません。 国単位としての歴史は異国の相手を知る上で重要な位置を占めるものです。当然そういった社会学的な授業も行いますが、それよりも今回大切にしてもらいたいのは、遠い国の相手と触れ合うこと。『外国人という誰か』ではなくて違う風土で生活しているものの、『自分達と同じ人間』だということを肌身で感じ取ってもらうということです。 では何をするのかというと、今回は名前と様々なイラストを大きな布に描いてもらう、というワークショップを行ってもらいました。 自分という個性を表現する名前を記すこと、海の向こうの相手へと伝えたいものを自由に絵で表現すること。 そして、完成した作品はボスニアのルドという町の子どもたちに送られ、そこで今回出来上がった作品を元にしてワークショップを行い、日本とボスニアの子どもたちによる合同作品ができあがるというわけです。 今回定められたルールは名前と絵が描いてあること、というものだけ。 自由度が高いので豊かな創造力が刺激され、同時にまだ見ぬ相手に何をどう伝えるかを考えなければなりません。 どんな作品ができるか、という可能性はとても広いですが、枠組みの無いものを作り出すのは難しいもの。 しかし、邑智中学校の皆さんはそんな杞憂も吹き飛ばし、とても魅力的な作品を描いてくれました。 名前を書くということ一つでも、単なる字の羅列にしてしまわず、躍動や立体感、複数人の名前を図形のようにして描いたりと、字を絵として表現する工夫。 日本ならではの風物詩や、好きなスポーツ、身の周りの物事をとても豊かに描く感性。 中学生の若さ溢れる心地良さを感じるものができあがりました。 作品の交換相手となるボスニアの学校とは、今回の作品交流一回に留まらず、継続的に交流し続けていけたら、と考えています。 紛争の影響下で暮らす人々のことを考える時、テレビや新聞の情報、教科書的な歴史を学ぶことも大切ですが、それだけでは何にもなりません。 そこで暮らす人々はニュースの中で暮らしているのではなく、一人一人の、泣く事も笑うこともする人間です。 彼らを知りたいと思う時、まず大切なのは一人の人間同士として関わり合いを持つことなのではないかと私たちは考えます。 感情のやりとりを行い、身近な人間として実感すること。異なる文化の人間とそうした関係になることで自分の世界は大きく広がり、そしてそれは紛争に喘ぐ人たちにとってとても心強いものになるのではないでしょうか。 今回邑智中学校で行った授業は、小さなものではありますが、交流の大切な第一歩となるものです。 今後も交流を続けていくことでもっと大きな規模で、さらに深く関わることが考えられますし、今回のことがきっかけとなって興味を持ってくれる人がでてくればまた次の可能性が見えてきます。 日本という国の邑智という町の子どもたち、そしてボスニアという国のルドという町の子どもたちの小さなきっかけが、多くの人の心に豊かさをもたらしてくれることを祈ります。
by hopeacc
| 2009-08-01 20:16
| ACCニュース
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