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2013年 02月 13日
2012年11月に福島県いわき市立永崎保育所で実施した「ともだち未来便in福島」。
「おばあさんの手」プログラムに参加しているコソボ難民のおばあさんたちが福島の子ども達への思いを込めて制作した手編みのマフラーを、国内の協力者の方々が手作りしてくれた巾着袋の中にセルビア在住の難民児童のメッセージと共に詰め、永崎保育所の園児77名の手に届けました。マフラーをもらった時の嬉しい気持ちを込めて永崎保育所の園児達が描いてくれたメッセージカードは、翌12月にマフラーを作ったセルビアのおばあさんと子どもたちのもとにACCスタッフが届けました。 2013年2月、セルビアのおばあさん達と難民センターに住む子ども達がメッセージカードを受け取った時の様子を更にメッセージカードにして永崎保育所に送りました。 「実際に会うことはなくても、きっと私たちは繋がることができるはず」 そう信じて、今後もACCはセルビア、カンボジア、日本の人々の心を繋ぐ活動に取り組んでいきたいと思います。 メッセージカードのデザインしてくれた多摩美術大学在学中のイラストレーターYuki.Poca.さんのHPはコチラ! http://gooscapee.tumblr.com/ #
by hopeacc
| 2013-02-13 09:31
| ACCニュース
2013年 01月 02日
2012年12月7日から9日までセルビア共和国のブルニャチカ・バニャで開催された現地提携NGO団体Zdravo da ste(ズドラボ・ダ・ステ)のアニュアル・ミーティングにACCスタッフ2名が参加しました。
Zdravo da ste(以下、ZDSと省略)は1992年にセルビアの首都ベオグラードの発達心理学者ベスナ・オグニェノビッチ氏が設立したボランティア団体で、その団体名はセルビア語で「こんにちは」という意味です。 1990年代、旧ユーゴスラヴィアは壮絶な民族紛争下にあり、大量の難民・国内避難民が生まれました。緊迫した社会情勢の中で子ども達の遊びが奪われ、そのことによって深刻な心理的問題が生じていることに危機感を覚えた心理学者たちが集まり、ZDSは難民の子ども達への心理社会支援を開始しました。民族紛争が終結して10年以上経った今現在でも、セルビアに居住する難民・国内避難民の合計は309,577人に上り、そのうちの3200人が公式に登録されている難民センターに居住しています。(UNHCRの2012年1月統計)また、難民センターに暮らす子ども達は貧困や社会的偏見などの理由から閉塞的な生活を余儀なくされています。 アニュアル・ミーティングとは毎年ZDSが開催している2泊3日程度の年次総会のことで、これまでZDSの活動に携わった人々が一堂に会します。今回のアニュアル・ミーティングでは長年ACCを支援して頂いている方々のご協力の下で、セルビア国内の2カ所の難民センターと難民センターに居住していた人々が住む1カ所の公営住宅で暮らす子ども達、合計30名も招くことができました。 12月8日に開催されたワークショップの前半では、子ども達は街へ出てガラクタの山から自分の気に入った素材を見つけ、楽器を作り、パフォーマンスの練習をしました。また、大人達は「静けさ・騒がしさ」「内側・外側」などの反対言葉が書かれた紙から着想を得たパフォーマンスの練習をしました。そしてワークショップ後半では子ども達と大人達が一緒にパフォーマンスを行いました。 ZDSの行う心理ワークショップは子ども達がパフォーマンス、音楽、詩、絵画などの創作活動とワークショップに参加する人々との関わりを通して、自分らしさや他者との調和を実感として得ることを目的としています。「自分は他の誰でもない存在として今ここにいる」、「辛いことも楽しいことも共有できる仲間がいる」その安心感と幸福感は子どもたちの心が健康に成長していくための礎を築く大切な一片になります。 また、9日のワークショップでは2012年11月に福島県いわき市の永崎保育所の園児がブルニャチカ・バニャに住むコソボ難民おばあさん達から贈られたマフラーへのお礼として書いてくれたメッセージカードの紹介も行いました。2011年3月11日の大震災、その後の福島第一原子力発電所の事故はセルビアでも大きく報道されていたため、アニュアル・ミーティングの参加者全員がメッセージカードに込められたエピソードについて真剣に聞いてくれました。中には涙して「福島の人達のために自分に何かできることはないか」と言う人もいました。 ZDSに関わる人々はかつて自分たちの力ではどうにもできない民族紛争という不条理を押し付けられてしまった人々であり、その困難の中で子ども達を守るために20年間も活動を続けてきた人々です。そして、元々は難民としてZDSの心理社会支援を受けていた子どもが成長し、かつての自分と同じ境遇の子ども達を支援する側に回っている青年もいます。そこにはACCが行っている心理社会支援活動が目指すべき姿 ― "希望"があるように感じました。 今後もACCはZDSの活動をサポートし、また日本国内の活動でも子ども達が「自分は他の誰でもない存在として今ここにいる」、「辛いことも楽しいことも共有できる仲間がいる」という実感が得られるような場作りをしていきたいと思っています。 #
by hopeacc
| 2013-01-02 19:23
| ACCニュース
2012年 12月 11日
12月に入り、セルビアはいよいよ本格的に冬の様相を呈して来ました。最高気温が高い日で4度ほど、最低気温は氷点下を下回るということもあって、ベオグラードの人々は皆厚いコートを身にまとい、急いで家路につく姿が目立ちます。今回のJICA草の根通信では、そんな寒い冬が来る直前にコバチチェボ社会福祉住宅で開催されたワークショップの様子についてご報告させていただこうかと思います。
この日のワークショップには日本人4名が参加しました。内訳ですがJICA東京本部より1名、JICAバルカン事務所より1名、そしてACCから2名です。普段と違ってたくさんの異邦人が参加するワークショップを開始するに当たっては、導入としてセルビアの甘いお菓子の入った折り紙の箱が子どもたちに配られ、最初に皆でいっせいにそれを食べました。セルビアのお菓子は日本のお菓子と比べると非常に甘みが強く、しかも男性もそれを結構喜んで食べたりします。私もこのお菓子をいただきましたが本当に甘くて、一生分の甘みをこの日だけで摂取したような気になりました。後で説明を受けたのですが、このように客人をもてなすにあたって甘いものを出すというのはセルビア伝統の習慣だそうです。それをただ配るのではなく、折り紙で箱を作ってその中にそっとお菓子を置くところに、セルビア人が長い歴史の中で育んできた人に対する優しさが見える気がします。 この導入と、体を使った簡単なアイスブレーキングに引き続いて、創作活動が実施されました。カルジェリッツァ難民センター、オーラ難民センター、コバチチェボ社会福祉住宅と、2日間で3箇所でワークショップを実施したのですが、この創作活動の中身は同一です。「自分があったことのない子どもたちに対して、ワークショップへの参加を呼びかけるポスターを作ろう」というコンセプトでした。創作活動に使う道具が配られると子どもたちは早速机に向かい、はさみや絵の具を使って思い思いのポスターを作りました。そのどれもがとてもカラフルで見ていると子どもたちが楽しんでこのポスターを作ったのだということが伝わってきます。 今年の3月からコバチチェボ社会福祉住宅でのワークショップ活動を始めて早8ヶ月、子どもたちが創作活動に参加する姿は本当に変わりました。一言で表すなら「集中できるようになった」ということです。同じような変化はどの事業実施地でも見られることです。これは活動を継続することで子どもたちの内側に前向きな変化が生じていることのひとつの表れだという風に考えております。 この日に完成したポスターは12月7日からセルビア中部の都市ブルニャチカ・バニャで開催される、現地協力団体ズドラボ・ダ・ステ(Zdravo da ste)の年次総会にて世界各国から集まった人々に配布され(デンマーク、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アメリカ)、JICA草の根事業に参加している子どもたちと見知らぬ子どもたちとの間に関係性を取り結ぶきっかけとなる予定です。年次総会というと、議案書を読み上げて、承認を得てという日本式のやり方が想像されますし、勿論そういった部分は無きにしも非ずなのですが、ズドラボ・ダ・ステの年次総会は普段JICA草の根事業で展開しているようなワークショップがその中心に据えられ、ワークショップへの参加を通じてその場に集まった人々が関係性を結んでいくこともその目的のひとつとなっています。 今年度の年次総会にはJICA草の根事業実施地点より総計30名の子どもが参加することになっております。コバチチェボ社会福祉住宅からは、今夏に開催されたサマーキャンプに参加できなかった子どもたち12名が参加予定です。このような普段とはちょっと違った環境で過ごす数日間で、子どもたちが幸せな思い出と、新しい人との良い関係性を取り結べるよう、ACCとしても最大限の注意を持って子どもたちと向かい合っていく所存です。 #
by hopeacc
| 2012-12-11 02:45
| JICA草の根通信
2012年 12月 03日
<ACCクリスマスチャリティフェア2012>
日時:12月9日(日)11時~15時30分 場所:都立大学駅KOMPIS ACC恒例のクリスマスチャリティフェアのご案内です。 今回は新しい会場(KOMPIS)で開催いたします。 会場は東急東横線都立大学駅改札口を出て、すぐに左側の道を直進。徒歩3分ほどです。 当日は活動地域で制作された手芸作品、特選日用雑貨、かわいい小物、調理器具、魅力的なアクセサリーなどが出品予定です。皆さまのご来場をお待ちしております。 このイベントに関するご質問などは以下まで。 (特活)ACC危機の子どもたち・希望 <Actions for Children in Crisis> 〒152-0031目黒区中根2-12-1-5F Tel.03-6459-5971 #
by hopeacc
| 2012-12-03 19:26
| ACCニュース
2012年 11月 28日
前回に続き、草の根プロジェクトが支援している子どもたちの家族のお話を続けたいと思います。
コバチチェボの社会福祉住宅は、前回もお話ししたように、とても近代的できれいな集合住宅です。そこで夫と3人の子どもたちと暮らすスタンカ・ジョシッチさんは、1999年のNATO空爆を受けて故郷、コソボのジャコヴィッツァから逃げてきました。10年間の難民センターの暮らしを経て、2009年からこの社会福祉住宅で生活しています。環境が変わり、きれいなアパートで暮らすようになってどんな気分ですかと尋ねたところ、期待していた返事ではありませんでした。仕事がないのは相変わらずですし、それに加え、かえって人間関係が悪くなったといいます。その理由は、妬み嫉みだといいます。それまで住んでいたオーラでは、確かに環境は酷かったし、プライバシーもなかったかわりに、皆が同じ困難の中で生活していることは明らかで、その共有感が、きちんとしたドアで仕切られた現在の住宅ではなくなったというのです。そこで、隣のうちでは何かいいことが起きているのではないか、自分は「いい話」から置き去りになっているのではないかと、住民同士の疑心暗鬼が芽生え始め、それがつきないとのことでした。そうした親同士の人間関係の悪化は子どもたちにも影を落とし、「あの家の子どもとは遊ばないように」などと悲しい現実もあるようです。 オーラ難民センターで話を聞かせてくれたミモル・アクシッチさんは、コソボでは警察署で雑用係の仕事をしていました。今はもちろん正業についていません。収入になるならば、どんなことでもしたい、日雇いの肉体労働でも、果樹園の収穫労働、薪作り、何でもしたいと語りました。何もかもが足りない、衣類も食料ですら。そして、悲しげな表情で自分は父親のつとめを果たしていないと語りました。 おそらくは、努力の余地という問題もあると思います。実際、努力が実り、現在、社会で地歩を固めている難民もいるのです。現在も難民センターでの暮らしを余儀なくされている人々は、元々が特別な技能や高い学歴を持たない貧困層の人々が多い可能性も否定できません。そのような印象を得たことも事実です。従って、難民センターを出て新たな人生を築いていく、才覚というよりも、努力の方向性がわからない人も多いのかもしれません。そしてその根底には、セルビア社会の経済的停滞(公式発表の失業率約26%)があり、仕事の絶対数の著しい不足があります。大学を出ても職がないという現実です。難民であるという事実に加え、この現実が子どもたちの未来に影を落とし、貧困の連鎖になってしまうのでしょうか。アクシッチさん、スタンカさん共に、息子を高校にやれそうもないと言っていました。授業料は無料ですが、教科書代、通学のための交通費、また学校に着ていけるような衣類などの経費を負担できないからです。 現在の厳しい生活状況を語るアクシッチさんは、時折出会う声高に不満をあげつらう人ではなく(それも無理ないことなのですが)、物悲しげで静かな語り口が印象的でした。息子のカストリオット君を見つめる愛情のこもった眼差しに接し、きっといいお父さんなのだなあと強く感じました。その隣で、8月にこのプロジェクトで行った夏季学校の楽しさを話してくれたカストリオット君の、真っ直ぐで、澄んだ瞳が深く心に残りました。 社会条件の改善は、控えめに表現しても極めてゆるやかだと言わざるを得ません。その中で育っていく子どもたちです。このプロジェクトは、社会の変化そのものと取り組むものではありません。しかし、様々な厳しい社会条件のもとであっても、実りある人間関係を築く力、生きるよすがを自分の中から創りだす力、そうした心の豊かさが子どもたちの中に宿り、育まれることを目指しています。 今回話を聴かせてくださった家族の皆さんは一様に、JICA草の根事業の中で展開されるこの活動に対して、心から感謝を述べてくれました。その気持ちに応えるためにも、私たちACCは現地協力団体のZdravo da steと共に、これからも子どもたちの心理的サポートへの努力を積み重ねていきたいと思います。そして何よりも、美しい瞳を持つ多くの「カストリオット君」を心において、取り組んでまいります。 コバチチェボ社会福祉住宅の建物 コバチチェボでのワークショップの様子 #
by hopeacc
| 2012-11-28 20:06
| JICA草の根通信
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